再生医療による顎骨広範囲欠損の再建治療の開発
産学共同で医師主導治験を実施し、細胞製品の販売承認を目指します
自家骨移植に替わる新しい顎骨再建法としての再生医療
顎口腔の癌や良性腫瘍、外傷や先天疾患で広範に顎骨が失われた患者さんに対し、自身の腰や下腿から骨を採取し、失われた顎骨に移植する手術が保険診療で行われています。しかし、採骨部への大きなきずあとや動かしにくさやしびれなどの機能障害を遺すとともに、移植された骨では良好な顎骨の形の回復できず、審美的にも機能的にも満足のいくものではありません。結局、長期にわたる複数回の手術を行うことになります。
現在、新潟大学では、少量の自家破砕骨と多血小板血漿と自家培養骨膜を混ぜた骨形成性移植材の移植による歯槽骨再生を自由診療の範囲で行っています。この再生医療をより大きな顎骨欠損を有する患者さんに応用するために、産学共同開発をおこない、医師主導治験を実施します。国内のみならず世界的にも初めての取り組みですが、顎骨を失った患者さんの治療に伴う身体的、精神的な苦痛を少なくし、より良い顎骨再建治療を実現することが期待されています。
先進医療開拓部門は 2020年度より、培養自家骨膜細胞による顎骨再建の実用化を目指してノーベルファーマ株式会社ならびにコージンバイオ株式会社とともに医師主導治験の実施に向けた準備を進めています。
培養自家骨膜細胞による顎骨再建の医師主導治験
- 医薬品医療機器総合機構薬事戦略相談を経て2021年度までに治験届を行います。
- コージンバイオ(株)はノーベルファーマ(株)と共同して、GMPレベルの細胞製品製造施設の整備します。
- 医師主導治験は、新潟大学医歯学総合病院を主任とする複数施設で実施します。
- 培養自家骨膜細胞の再生医療等製品としての上市を目指し、ノーベルファーマ(株)が薬事承認申請を行います。