再生医療の発展に向けた取り組み
地域拠点病院・歯科診療施設における再生医療導入と実施にともなう技術的養成をサポートし、顎骨と歯周組織を回復する再生治療の普及を目指します。
これまで当院が行う再生医療は自施設内の診療室、細胞製造施設、手術室で行う院内完結型の体制で実施してきました。今後、真の再生医療実用化を実現し、その効果を必要とする多くの患者さんに届けるために、地域の病院や歯科診療所で再生医療を実施できる体制を整える必要があります。当院における2007年から現在に至る100例を超える再生医療の実施経験を活かし、大学病院が開発した再生医療技術を企業に技術移転し、再生医療の普及に必要な技術の産学共同開発、医療施設の技術指導、学術的活動をリードすることで、新しい分野としての再生医療の安全性を確保しながら、迅速かつ円滑に患者さんに提供する体制を実現します。
当センターでは以下の二つのアプローチから歯科再生医療の実現を目指します。
民間企業への細胞培養技術の移転と再生医療関連技術の共同開発
新潟大学医歯学総合病院輸血再生細胞治療センターでは、コージンバイオ株式会社との産学連携事業として、培養骨膜細胞製造技術の同社細胞プロセシングセンター(CPC)への移転を行いました。医療施設で患者さんから採取した骨膜をコージンバイオCPCに移送し、4週間培養して培養骨膜を製造し、ふたたび医療施設に戻して移植します。
企業CPCにおける培養細胞の製造と特定細胞加工物の供給
地域拠点病院や開業歯科医院で歯科再生医療を可能にするため、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に準拠した、特定認定再生医療等委員会への申請手続きや定期報告をコージンバイオ(株)がサポートし、細胞採取から移植に至る一連の再生医療技術手技を新潟大学医歯学総合病院 先進医療開拓部門が指導します。
歯科再生医療を地域の拠点病院や歯科医院に普及するメリット
- 歯科治療はの自由診療の占める部分が多く、それに沿った形で再生医療を実施できる。
- 再生医療の導入によって低侵襲で良質な歯槽骨再生が歯科診療施設で可能になる。
- 歯槽骨の不足のためインプラント治療を諦めざる得なかった多くの患者さんのに再生医療を適用できる。
- 歯科診療で広く行われる歯周治療において歯槽骨・歯周組織再生医療の適用が期待できる。
- 歯科診療施設で可能な再生医療技術の普及は歯科治療の自由度と質の向上をもたらす。
地域拠点病院、開業歯科医院で歯科再生医療を開始するまでのタイムライン
2020年度
- コージンバイオ(株)の培養骨膜細胞製造の標準プロトコール整備
- コージンバイオ(株)CPC稼働開始
- 大学病院をふくむ地域拠点病院、開業歯科医院からの特定認定再生医療等委員会申請の準備を進め、年度中に所管の厚生局への届け出を完了
2021年度
- 企業CPCの特性細胞加工物供給による地域拠点病院および歯科診療施設での歯槽骨再生医療を開始する。