非結核性抗酸菌症に対するGM-CSF吸入療法
非結核性抗酸菌とは、結核菌の仲間ですが人から人へはうつらず、土壌や水回り(特に風呂場)に存在し、誰もが感染する可能性がある細菌です。主に肺に感染し、数年~数十年かけてゆっくり悪化することが多く、主な症状は咳や痰、微熱ですが進行すると持続的な酸素吸入が必要となることもあります。
代表的な菌の名前から肺MAC症とも呼ばれます。
中高年の女性で発症することが多く、人口10万人に対して14.7人(2014年)の割合で新しい患者が出ており近年増加傾向にあります。
治療は3種類以上の抗菌薬を1年以上続けるのが標準的ですが、長期間の治療でもよくならないことや、抗菌薬の副作用で治療を継続できないことも少なくありません。
体内でも分泌されているタンパクの一種であるGM-CSFの吸入療法が非結核性抗酸菌症に効果があるという報告がこれまでみられていますが、確立された治療法ではありません。
我々は非結核性抗酸菌症に対するGM-CSF吸入療法の臨床試験を行い、新たな治療法として確立することを目指しています。